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「麻布十番納涼まつり」

b0007815_2394055.jpg 今日もまた真夏の陽射し。涼を求めて、覆い茂る緑の街路樹の下へと歩く。木陰を吹き抜けるそよ風が心地よい。あぶら蝉の声が幾多にも響く。でもその声はどことなく寂しげな印象で、夏の盛りがもう過ぎつつあることを感じる、そんな日だった。
 ムスメの翠花を連れて、五月まで住んでいた田園都市線のたまプラーザに来た。以降も月二回ここまでピアノのレッスンに通っている。少し早く着いたので、今の清瀬のマンションに越して来る前に住んでいたアパートを訪れてみた。いつも我々を悩ませた細く急な階段を上がると、我が家だった部屋には既に新しい住人が暮らしている様子がある。ドアに残されたままの小さな落書きに目が止まった。その瞬間、様々な思い出がフラッシュバックしてきた。でもそれは既に過ぎ去ってしまったものだと気づき、ハッと我にかえる。かつて住んでいた場所というものは、いつだって特別な思いがあるものだ。
 レッスンが終わると吉祥寺へ向かった。友人と会っている妻にムスメを預け、一人秋葉原の電気街をぷらぷらと見に出向く。雑踏の中で見覚えのある顔にハタと立ち止まると、なんと旧友Yだった。今日は麻布十番で夏祭りをやっているので覗いてみないかと誘われる。夏祭りなど久しく訪れていない。夏祭り・・・。なんとも郷愁を感じさせる響きに少しわくわくして、早速当地へ向かった。

b0007815_23194528.jpg 麻布十番の駅に着く前から、女性達が色とりどりの浴衣に身を包んでいる姿が目に楽しく、嫌が応でも祭り気分は高まる。ひとたび駅を降りると、街は既に群衆で埋めつくされていた。広場や商店街沿いに並んだおびただしい数の出店。その間を縫うように行き交う人々の群れ。赤ちょうちん。炭火焼きの煙。ソースの香り。子供達の笑い声。ビール片手に座り込んで談笑に興じる人々…。そんな混沌とした状態にえもいわれぬ懐かしさを覚えつつ人波に身を委ねる。

 祭りと言えばビールだ。麻布十番の地ビールがあると聞きつけ早速買い求める。肴はもちろん岩魚の炭火焼きだ。串刺しにされ、ざくざくと立てられた岩魚達が真っ赤な炭火で炙られるさまは印象深い光景だ。さっそく頭からかぶりつく。炭火の香りと塩味、それに岩魚の味が口の中いっぱいに広がる。地ビール独特の澱(おり)の強さがまた岩魚と合う。文句なくウマい。

 ひとしきり祭り気分を堪能すると、ふたたび雑踏の中にまぎれ、人波に任せて往来の少ない通りまで出た。混雑した地下鉄の駅への階段を下りるのはなんだか興ざめな気もして、隣の駅まで祭りの余韻に浸りながら歩いた。

 日々の瑣事に紛れて忘れかけていた情緒を自分の中に取り戻せたように感じた一日だった。
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by arly1970 | 2004-08-21 23:22 | イベント